防災気象情報が2026年5月下旬から大幅にリニューアルされます。
これまでの防災気象情報の課題点、そして新しい防災気象情報の改善点など、少し踏み込んで知りたい方向けにビフォーアフターを気象予報士が解説します。
防災気象情報ってどんなもの?
2026年3月現在、気象庁から発表される防災気象情報には例えば、以下のようなものがあります。
- 大雨注意報
- 大雨警報
- 土砂災害警戒情報
- 大雨特別警報
上記は大雨についての防災情報の一部です。
梅雨の時期や台風接近時などにテレビやスマホアプリなどで見覚えがあると思います。
このほかに洪水や高潮に関するものなどたくさんあります。
災害が迫った時に、気象庁が人々に防災行動を呼びかける指針となる情報です。
2026年5月下旬より大幅リニューアル
従来の防災気象情報は増改築を繰り返した築年数が経った古いアパートに例えると分かりやすいです。
気象業務法が施行された1952年を基準とすれば従来の防災気象情報は築年数74年で、とても住み心地が良いとは言えません。
災害が迫っていることを国民に伝える情報なのに、その国民にとって非常にわかりづらいものになってしまったのです。
そこで国民誰しもが分かりやすく、なおかつ、災害の切迫度をイメージしやすいように大幅なリニューアルが決定しました。
そして、2026年5月下旬から新しい防災気象情報として運用が始まる予定です。
専門家によるアパートの建て替え工事が行われたのです。
防災気象情報のビフォーアフター
ビフォーの課題

従来の防災気象情報で指摘されてきた課題は以下のようなものです。
- 警戒レベルと防災気象情報の関係性が分かりにくい
- 気象庁から発表される情報の数が多すぎる
- 個々の情報の名称に統一感がない
- 同じ大雨警報でも、対象が土砂災害なのか、浸水害なのか分かりにくい
- 警戒レベル4に相当する情報が存在しないものがある
- 高潮に関して、同じ情報でも2つの警戒レベルにまたがっている情報がある
これらは既存の情報に後付けでどんどん新しい情報を付け加えていった結果です。
防災情報に求められるレベルの高さに予報精度向上が伴ったがゆえかもしれません。
アフターの改善点
新しい防災気象情報の改善点のポイントを3つに整理しました。

情報名に「レベル」が付く
すべての情報に「レベル〇」といった文言が付きます。
注意報ならレベル2
警報ならレベル3
危険警報ならレベル4
特別警報ならレベル5
となり、レベルが高くなるほど災害の危険度が高いことを意味します。
これでビフォーの課題①が改善されました。
「危険警報」という情報が新設
レベル3警報とレベル5特別警報の間にレベル4危険警報と呼ばれる情報が追加されます。
「危険警報」が新設されたことで、情報の名称に統一感が生まれ、パッと見て分かりやすくなりました。
これでビフォーの課題③⑤⑥が改善されました。
各情報名に4種類の災害が明記
「氾濫」、「大雨」、「土砂災害」、「高潮」と情報の名称に災害がそれぞれ明記されます。
氾濫は1級河川などの大河川の氾濫について、
大雨は浸水害と大河川以外の河川の氾濫について、
土砂災害はがけ崩れや土石流などについて、
高潮は海水面の上昇や波の打ち上げによる浸水について
災害の危険度を伝える情報です。
これでビフォーの課題④が改善されました。
アフターに残る課題
警戒レベルが付かない情報もたくさんある
暴風や暴風雪、高波、大雪など警戒レベルと紐づかない情報も数多くあります。
これらは今回のリニューアルには関係なく、現状のままの運用です。
警報、注意報のほかに線状降水帯の発生情報や竜巻注意情報などもあり、ビフォーの課題②「気象庁から発表される情報の数が多すぎる」についてはあまり改善されていない状況です。
河川の規模によって発表される情報が異なる
ここは今回のリニューアルで新たに生まれた課題だと言えます。
河川の氾濫については洪水予報河川に分類される大河川では氾濫警報として発表されます。しかし、それ以外の河川では大雨警報として発表されます。
さらに言えば、
氾濫警報は河川ごとに発表されるのに対し、
大雨警報は市町村ごとに発表されます。
河川の規模によって発表される情報が異なるという課題は混乱を生みそうです。
それ以外の河川についても今後、氾濫警報へ移行する予定とのこと。
まとめ 防災気象情報を活用して命を守る
今回の防災気象情報のリニューアルは古いアパートの建て替えです。
リニューアルで改善された点、課題が残った点をまとめると
防災気象情報の意義は国民に避難判断をしてもらうことにあります。情報だけあっても、災害の被害を減らすことはできません。
情報を見る国民の理解も必要です。
防災気象情報の正しい意味を理解して、大雨の災害から大切な人の命と財産を守るために活用しましょう。